みなさんは「絶対に勝てる投資があるよ!」と言われたとしたらどう思うでしょうか。うさんくさいサギ師か、あるいは何かの勧誘かと警戒してしまうかもしれませんが、まさにインデックス投資がその答えとなります。
今までインデックス投資をおすすめする記事を書いてきましたが、本日はインデックス投資が理論的にも優れた投資であることを説明します。
インデックス投資の理論
※いきなり難しい話になりますが、このパートはあくまで参考に読んでもらえばOKです。
「現代ポートフォリオ理論」と「資本資産価格モデル」
現代ポートフォリオ理論は、簡単に言うと「リスクとリターンの関係は確率統計の計算式で予測できますよ」という理論です。計算式があるので最もリスクが少なくリターンを出すための最適なリスク資産の組み合わせを考えることも可能です(Wikipedia)。
理論的にリスクとリターンの関係が最適となる点を結んだ境界線を「有効フロンティア」と呼び、各投資ファンドはこの境界線上を狙ってポートフォリオを組んでいます。
資本資産価格モデルは、有効フロンティア上の最適なポートフォリオは株式市場そのものだと言うことを数式として証明し、この論文は1990年のノーベル経済学賞を受賞しています。世の中の株式市場を時価総額で考え、株式市場の時価総額と同等のポートフォリオを組めば理論上最もパフォーマンスが良くなるのです(Wikipedia)。
以下の図は株式インデックスのイメージ図です。
個別株はリスクやリターンがバラついていますが、時価総額を基準にポートフォリオを組むことで、効率的フロンティアにインデックスを近づけることができます。
数々のインデックス投資の銘柄は上記の2つの理論を根拠にポートフォリオが組まれています。インデックス投資をすることで投資のプロと同等のパフォーマンスを期待することができます。
私達が100円から気軽に積立できる投資信託は、経済学の理論に裏打ちされた理論上最も効率的な投資なのです。
※「現代ポートフォリオ理論」と「資本資産価格モデル」は、どちらも様々な前提条件を元に数学的に理論を定義しています。効率的市場仮説(株式市場は全ての情報を織り込んで動いている)などは現実と合わないこともあるので、あくまで理論であることをご承知おきください。
株式と債券でリスクとリターンをコントロール
株式を元に作られたポートフォリオは高い利回りが期待できますが、同時にリスクも高いため、状況によってはリスクを下げた運用が必要となります。そこで債券を活用します。株式と債券でポートフォリオを組むことで、リターンをキープしながらリスクを下げることができます。
以下の図は株式と債券を組み合わせたときのイメージ図です。
この図で注目してほしいのは、効率的フロンティアのカーブが直線ではないことです。つまり、リスクを上げてもリターンは同様には上がらないのです。逆の言い方をすれば、リスクを下げてもリターンはある程度キープできるということです。
以下は株式と債券の比率によるリターンとリスクの比較表です。
株式 | 債券 | 期待 利回り | リスク (標準偏差) | 最大利回り | 最大損失 |
100% | 0% | 5.4% | 19.0% | 43.3% | ▲32.5% |
90% | 10% | 5.0% | 17.0% | 39.0% | ▲29.1% |
80% | 20% | 4.5% | 15.1% | 34.8% | ▲25.8% |
70% | 30% | 4.1% | 13.3% | 30.6% | ▲22.5% |
60% | 40% | 3.6% | 11.5% | 26.5% | ▲19.3% |
50% | 50% | 3.2% | 9.7% | 22.6% | ▲16.2% |
40% | 60% | 2.8% | 8.1% | 18.9% | ▲13.4% |
30% | 70% | 2.3% | 6.6% | 15.6% | ▲10.9% |
20% | 80% | 1.9% | 5.6% | 13.0% | ▲9.3% |
10% | 90% | 1.4% | 5.1% | 11.6% | ▲8.8% |
0% | 100% | 1.0% | 5.4% | 11.8% | ▲9.8% |
※リスクの考え方は標準偏差の考えから出すことができます。上記は2標準偏差(95.5%の確率)で算出しています。
最大利回り = 期待利回り + (2×標準偏差)
最大損失率 = 期待利回り ー (2×標準偏差)
例えば債券の比率を50%にすることでリスクは半分(▲32.5%→▲16.2%)に抑えながら、リターンは60%キープ(5.4%→3.2%)できます。
年齢や資産額に応じて取れるリスクを考え、そのリスクに応じて債券の比率を決める。こうすることで最適なリスクで、最も高いリターンを得ることができるのです。
リバランスで設定リスクをキープ
積立をしていると徐々に株式と債券の比率が当初設定したものから変わってきます。例えば株式の評価額が値上がりすることで当初株式と債券の比率が50:50だったのに対し60:40%に変わってしまう状況です。
比率を元に戻すために購入項目の比率を見直し、元の比率に戻す事をリバランスといいます。この作業を定期的に行うことでリスクをコントロールし自分の想定リスクをキープすることができます。
ちなみにインデックス投資のファンドには債券を組み込んだバランス型のものもあるので、そのファンドを選べばリバランス自体も投資ファンドがやってくれます。
インデックス投資の手順
理論がわかったところで、具体的に何をすれば良いかについて説明します。とは言ってもやる事は簡単です。
想定リスクを決める
最初にやることは想定リスクを決めることです。上記の表に合った最大損失を見て、どこまでリスクを取れるか考えてみてください。
余剰資金で期間も長く取れるなら株式100%で問題ありません。リスクを抑えたければ債券の比率をあげてポートフォリオを組みます。
投資対象を決める
次は何に投資するかを決めます。先ほど出てきた資本資産価格モデルを踏まえるとオールカントリー、人気ファンドで考えるとS&P500、先進国株式、全米株式などが選ばれています。各ファンドの資産比率については以下の記事をご参照ください。
どれを選んでも世界株式の時価総額を基準にポートフォリオが組まれており、内訳も米国株式が50%以上となっているので、後は個人の好みで選べば良いです。理論上はどれも最適なファンドです。
債券を取り入れる場合は国内債券、海外債券を自分で取り入れるか、最初からポートフォリオに組み込まれているファンド(バランス型)を選んで下さい。
後はひたすら積立&長期保有
投資対象が決まったら、積立設定をすればやる事は終わりです。後はひたすらほったらかしましょう。
債券を組み入れている場合は年に1度くらいの割合でリバランスをします。見直し月だけ債券割合を増やして購入する等の対応で比率をもとに戻せばリスク設定が戻ります。
理論は難しくてもやるのは簡単
インデックス投資の理論について説明してきました。理論は難しくて完璧に理解するのは難しいですが、実践するだけなら簡単だという事がわかります。
私は株式インデックス100%で、株式のファンドを米国、先進国、新興国、国内で分散投資しています。以下の記事で説明しているのでご覧ください。
私がインデックス投資を始めたのはお金は寝かせて増やしなさいという本を読んだのがきっかけです。タイトルや見た目は数あるお金の本の1つに感じてしまいますが、内容はインデックス投資の基礎から実践までをしっかりと解説しています。もし良かったら一読をおすすめします。
インデックス投資は理論的に最も合理的な投資法であり、人気のあるインデックスファンドは手数料もどんどん安くなっていて、積立NISAのように税制が有利な環境も整っているので、余裕資金があるならやらない理由はないです。
積立NISAでインデックス投資を始めるなら以下の記事を参考にしてください。
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